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日はとうに落ちて、辺りは薄暗い。桜とは縁遠い季節であるが故か、はたまた単に人通りが多くないからか、街灯なんかもちらほらとしか付いていなかった。 ざく、ざくと土を掘り起こす音が聞こえる。 立派に並んだ桜の並木のある1本の、その根元では人影がゆらゆらと動いている。 土を掘る音はそこから聞こえるようで、それが止む気配はない。 ぴたり、人影は突然動きを止めた。 それの足元には大きな穴が空いている。丁度、小柄な人間1人はすっぽりと覆ってしまうくらいの。 人影の、そして桜の上部から照らす街灯がちかちかと揺れる。人影の胸元では、銀色のチェーンがきらりと灯りを反射して光った。
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