(二)

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飼い主が帰ってくるのを、日がな一日待っている。 暇なので、酒の封をあけてしまう。 ビール、赤ワイン、日本酒。 冷蔵庫のなかのジップロックに詰められた、飼い主の料理をひっぱり出して肴にする。 呑み疲れて眠ってしまうと、階段を登る足音が聞こえる。 鍵の回る音がして、飼い主が「ただいま」とかすれた声で言う。 おれは飛び起きて、飼い主の膝にまとわりつく。 酒を呑みながら、パソコンを開いている飼い主の横顔を見ている。 つまらないので、マウスを操る手にちょっかいをだす。 飼い主の膝の上によじ登り、丸くなる。 空いている左手が、おれの背を撫でる。 雨が、降り出した。 その規則的な音を聞いているうちに睡魔が襲いかかる。 おれは飼い主の膝にもたれたまま、目を閉じる。 明日の朝、飼い主が着ていくワイシャツは、彼自身の手でアイロンがあてがわれ、ぴしっとした形で鴨居に掛けられている。 闇が、おれの視界を覆う。
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