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「香港でもですか?」
「ああ、香港も完全に本国の管理下になってしまった。デモをしただけで逮捕拘束、海外に逃げれば逮捕状が出る始末だ。こんな我々でも何か有ったら国家安全法で理由も無しに逮捕されるかもしれないからな、もちろん財産没収だ」
「それは危険ですね」
「それどころか闇鬼もその対象になるかもしれない」
「えっ、今まで国のために働いていたのに?」
「ああそうだ、それで趙剛に頼まれて暗鬼の移転の候補地を探していた。」
「どこですか?」
「日本だ、もちろんランドエステートに見つけて貰った」
「えっ?ありがとうございます」
「東北に忍者村を作って闇鬼のメンバーは表向き忍者のスタッフで働く、同じ東洋人だから日本なら目立たない」
「それはいいですね、インバウンドで外国人観光客も呼べる。でも射撃訓練は?」
「それはまぁ……その代わりこれから闇鬼の維持費の半分は俺が持つ」
「そう言っても闇鬼が日本に来たら、暗殺はさせませんよ」
「わかっている。俺が考えるには対悪の正義の組織になってもらいたい」
「でもその報酬は」
「逆にドミンゴの組織を潰したらいくら貰うつもりだ?」
「前回、300万ドルをいただきました」
「今回はいくら請求するつもりだ」
「成功報酬として500万ドル」
「それでも安いくらいだ、怪我人や死人が出たらどうする?」
「そうですね」
亮は組織を預かる身の責任を感じた。
「東北は10年前の災害で空き家が多いから買い取って闇鬼の移住先の準備をした。まもなく闇鬼は国との縁を切る」
「そんな事を・・・」
個人の持つパスポート、資産の移動、もちろん家族への影響など亮は気になった。
「大丈夫だ、彼らは元々孤児でマギーのように
家族は居ない、忍者村が出来るまで当面の間
職場はうちの関連会社、ルーセントホテル、亮の警備会社に所属してもらおう」
「そうですね、賛成です」
「今度の仕事が終わったら、闇鬼は亮が闇鬼を統率するんだ」
「でも趟頭領は?」
「出国して身を隠す」
国と縁を切れば、趟剛は国の秘密を知る裏切り者、国家反逆罪の首謀者として命を狙われるだろう。
「それと同時に暗殺組織闇鬼は解散する」
「わかりました。それで小妹のお父上は?」
「あぁ、誰も知らない話だ、問題ない。
ただ念の為に闇鬼メンバーの小妹は亮の妹にすればいい」
「えっ、また妹ですか?」
「なんなら結婚するか?彼女も喜ぶぞ」
「いえいえ、父の養女にします」
「あぁ、それが自然だ」
「この事を知っているのは?」
「関龍だけだ、小妹も知らない」
「彼は僕の事を……」
「もちろん、生涯亮に使えたいそうだ」
「文明兄さんの立場は?」
「俺は闇鬼の相談役としてVIPボディガード、産業スパイ監視業務、反社会組織から企業、個人の保護業務などの営業をする。そして千紗子のお婿さんになって團文明になる」
文明の計画は完全出来上がっていた。
「闇鬼の名前は?」
「一切残さない新しい組織として再出発だ」
亮は世界の悪の組織が恐れる闇鬼の名前が消える事は少しもったいない気がした。
「そうですか、祖父が作った国際救助隊で働いてもらえるいいですね」
「もちろんだ、悪の闇鬼から正義の味方になるんだ、人命救助は最高だ」
「民間のボランティア組織ですから大したお金はでないと思いますけど」
「それは何とかなるだろう、いずれにせよ、闇鬼200名がバックに付けばお前は世界最強のビジネスマンになる」
「いいえ、今のまでで結構です」
「あはは、闇鬼最後の仕事だ頑張れ」
「はい」
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