第6話 魔女の脱皮

2/40
前へ
/40ページ
次へ
  「あんた、俺のこと好きやろ」 「……!?」  気だるく潤んだ真っ黒の瞳が、わたしをまっすぐに見ている。  この人は、視線になにかおかしなものを混ぜていたりするのだろうか。  だって、見つめられているだけでこんなにも動くことができない。 「ちゃうんか? だからこの前、あんなに泣いてたんやろ」 「だっ、て、それ、は」  家門さんが言ったんじゃないか。  勘違いだったって。  興味がないならそう言えばよかったって。  その場に固まっていると、家門さんがわたしに手を差し出した。 「俺の思い込みなら、そう言って。……かまへんから」 「……!」  わたしの体のどこかにある心に、直接触れるような声で言う。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加