第6話 魔女の脱皮

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   何度も繰り返されなくとも、この人がわたしを想って──欲しているのが、またわかってしまう。  差し出された家門さんの指先が、寂しそうにひらひらと動いた。 「……なあ。あんたの声で、聴きたいんやけど……な」 「ずるいですよ……」  やっとの思いで口にできた言葉は、そんなものだった。 「なにがや」 「ずるいです。そんな……そんな優しく甘えた声を出したって」 「おん?」  ごくり、と息を呑む。 「そんな声出したって、この間の夜がなかったことになるわけじゃ……」 「それはそうやな」  力なく、彼は笑う。  いつも年齢より幼く見える家門さんは、疲れ切っているせいか、今はすごく年上の男性に思える。 .
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