第6話 魔女の脱皮

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  「言うて。スズメ……ちゃん」  言いづらそうに口ごもる。 「……その呼び方、珍しいですね」  いつもはわたしに“ちゃん”づけなんてしないのに。  家門さんは肩だけでふっと笑う。 「うるさいわ。それよりはよ言うてくれ」 「……なにをですか」 「俺のこと、好きって。はよ言うて」 「──……!」  きゅううう、と。  胸の奥の奥が締め上げられた。  言っていいんですか、なんてこれ以上の押し問答は、きっと家門さんも望んでいない。 「すき、です」 「……」 「すき……すきです、家門さん……」  言葉とともに、嗚咽が一緒に漏れてきた。  こんなつもりではなかったのに。 .
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