第6話 魔女の脱皮

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   ……いつもの、この人とのやりとりなら「感じてなんかいません」と。  たぶんわたしなりに軽快に返したところだと思う。 「な、何日も、こうして話すことさえ、で……できてなかったんですよ」  ちゃんと話したいのに、しゃくり上げてしまうから言葉がつっかえる。  家門さんの指先が、わたしの手のひらをこしょこしょとくすぐった。 「……さみしかったんか?」 「……!」 「ん?」  潤んだ彼の目が細められて、また弧を描く。  いっそ、もうその瞳の中に吸い込まれてしまいたかった。  恋に眩暈う意識が、足元から崩れ落ちていきそう。  ……どうにかなってしまいそうだ。 .
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