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ーねぇ、信じてよー
栄養素になれるのなら、なりたいよ。
ぼくがそう言うと、彼女は笑った。
そんなこと、あなたにできるわけがないでしょ。
子どもを諭すような穏やかな口調。
いつもみたいに馬鹿にしているな。
きみの力になりたいんだ。
なあに、その使い古された台詞は。
もっと気の利いたこと言えないの。自称読書家さん。
読書家だから、ベタなことを言うんだよ。
こういうときは、なんだかんだ王道が一番効果があるって知っているから。
回りくどいのはイヤだろ、きみ。
回りくどい男ほど、つまらないものはないわね。
そうだろ。
けれどね、わたしはあなたの力はいらないの。
そんなことされたら、はっきり言って迷惑。
そもそも本当に力になるのかさえ不確かなのに、どうして私が承諾すると思ったのよ。
そう詰問されて、ぼくは言葉に詰まった。
ためらう必要はないのに、ひと呼吸おいた。
だって、しっかりと聞いて欲しいことを、ぼくが今から発言するから―――
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