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ーそして、満開ー
わぁ、きれい。
毎年、きれいに咲くよね、
うちの高校の桜。
樹齢千年っていう噂だよ。
それは嘘っぽいわ。
千年って平安じゃん。
まぁでも、あの校舎裏の一番大きい木なら
千年っていわれても納得しちゃいそう。
枝つきから、ほかと違う雰囲気がある。
その桜の木の下で告白したら
必ず付き合えるっていうジンクスあるよね。
ありがちー。そういえば、わたしのお姉ちゃんも言ってたわ。
わたしは、そんなこととは一切無縁だからなぁ
今も言われていたなんて知らなかった。
えーと。
事後報告だけど、
わたし3組の中村と付き合うことになったんだよね。
ぬけがけ!しかも事後報告!ひどい!
わたしたちの友情はそんなものだったの。
はいはい、それもありがちですねぇ。
もう、にやにやしちゃって。幸せなこった。
……で、いつ、どっちが、告白したのよ。
一週間くらい前、わたしから。
ちょうど、桜が満開になったときを狙って、昼休みに。
風で花びらがくるくると落ちていくなか、
わたしは、あいつを待ってるの。
……あんた、
結構、計算高くてロマンチストだったのね。
あら、お褒めにあずかり光栄ですわ。
ま、冗談は置いておいて、本当にきれいだよね。
花のかたまりが遠くから見るとまあるく見えて、
もこもこってしているのが、かわいい。
用務員のおじさんが一年かけて世話してるのを知ってるからこそ、
こうして満開の桜を見るとまた違った感慨があるよね。
とくにこの大きな木は手をかけてるし。
桜の木で思い出したけど、
桜の木の下には死体が埋まってるっていう話、聞いたことない。
死体が埋まっていて、その死体の生き血を吸って
桜はどんどんきれいに、より美しく咲くの。
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