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おまえ、簡単に言うなよ……そう思ったけど、声にならなかった。
その目があまりに真剣で、不覚にも胸が熱くなった。
「俺は来宮智典。 九福大学1年、19歳。将来、世界チャンピオンになってあなたの夫になる男です。どうぞ末長くよろしくお願いします」
立ち上がった美男子が、グローブをつけたままの手をまっすぐ差し出してきた。
そのとき一瞬、まばゆい光に包まれた気がした。
指先が吸い寄せられるように動く。
気付けば俺は、そのグローブに手を添えていた。
これが、俺の人生を激変させる男との、出会いだった。
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