273人が本棚に入れています
本棚に追加
一気に飲み干して空になったペットボトルを、智典は大事そうに胸に抱えた。
「変態で結構です。こんな素晴らしい宝物が手に入ったんですから。これはこれから毎晩、大事に使わせてもらいます」
「ちょっと待て、使うって何に!?」
「………」
「頬を染めるな! それよこせ! 捨てる!」
「嫌です! 絶対に渡しません!」
ダッと走り出す智典を、自転車で追いかける。
「わーたーせー!」
「いーやーでーすー!」
そんな調子で全力疾走し、ジムに着いた時には二人とも疲労困憊で床に倒れ込んでしまった。
ペース無視で走らせるなんて、アホなことをしてしまった……。
だが恐ろしいことに、こいつは俺が立ち漕ぎしても追いつかないスピードで走りながらシャドウをしていた。
凄すぎる。凄すぎて、疲れすぎて、ペットボトルのことなんてどうでもよくなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!