俺のヴィーナス

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10分ほどバッグ撃ちをしたあと短いシャドウを行って、彼はリングのロープにかけていたタオルで汗を拭った。 ほんの短い時間だが、汗だくになっていた。それだけ集中していたのだ。 すごい……。 単なる練習なのに、一試合観戦したような気分だった。それは彼が発していた真剣な気迫によるものだろう。 それに……。 タオルでゴシゴシ顔をこする彼のがっちりむっちりしたボディに、汗で透けた白いタンクトップがぴったりとまとわり付いている。 俺は食い入るようにその肉感的なフォルムを凝視した。 どうして中年男の身体がこんなに艶めかしく見えるのだろう。その疑問に、高鳴る心臓が答えを出す。 惚れた……。
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