俺のヴィーナス

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母さんのこともあって俺は性指向にこだわりはなかった。が、まさか自分がこんなニッチ趣味だとは思わなかった。 人間、生きていれば思わぬことが起こるものだ。 まさか初めて結婚を申し込みたいと思った相手がおっさんだったなんて。……だが、そんなことはどうでもいい。 常識にこだわって自分を抑えることがどんなに辛いか、素直に生きることがどんなに幸せか、俺は母さんから学んだ。 素直に生きる。 彼の汗の匂いが充満するこの空間に入りたい!  あの汗で艶めくがっしりした腕に触りたい!  湿って貼り付いたスケスケタンクトップを脱がしたい! 今感じている、これがすべてだ。 いけ、俺。
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