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「ジャブは短く撃って素早く戻せって教えただろ! じゃないとガードが空いて敵のパンチもらっちまうぞ」
「はいっ、好きです!」
「だまれ。次は右ストレート、そこから左フック、」
つれないハニーだ。でもそこも好き。
6kmを走り、公園に到着した。
防風に植えられている松がざわざわと揺れている。その間から望む海は夕暮れの暗い色に染まっている。
11月末なので潮風は冷たいが、走ってきたので体がカッカしている。いっそ裸になりたい。
「ほい、飲め」
貫一さんから差しだされたタンブラーを受け取り、無言でゆっくりと飲む。
間接キスの一件から、飲みきりサイズのドリンクを用意されるようになってしまった。水に塩とハチミツとレモン果汁を入れた自作スポーツドリンクだ。
貫一さんお手製のものを飲めることは嬉しいが、間接キスがしたい。
初間接キスのペットボトルは記念品として棚に飾っているが、何度も舐めたせいでもう貫一さんの要素が残っていない。ここは是非ともまた貫一さんの唾液を……。
「よーし、折り返し行くぞー」
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