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ヒュン、ヒュン、と軽快なステップで縄跳びしていた智典が、カァ――ン! ベルの音でピタリとロープを止めた。
ロードワークから帰ってきてストレッチをしたあと、逆立ち腕立て伏せを30回、続けて200gのずっしりしたロープを使った縄跳び3分を3セットしたにもかかわらず疲労の色は見えない。
軽く息を切らしてタオルで汗を拭いているその姿には、ドラマ撮影で肌に霧吹きをしただけの若手俳優なみの余裕ときらめきがある。
ついテレビの前の視聴者気分になってしまい、そんな自分を追い払うようにパンと手を打った。
「じゃあ次、シャドウ」
「はい!」
俺がベルのタイマーをセットすると、智典は奥に置いている大きな姿見の前でフォームの確認をしながらシャドウを始めた。
それを後ろから眺めて、腕組みする。
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