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「最後の一滴まで残さず堪能させていただきます。だから恐れないで俺に身を任せてください」
「恐れるわ! 恐怖しか見当たらないわ! お前もうやだ! 帰れ!」
「嫌です。結婚してくれるまで憑依霊さながらに付きまといます」
あーもー、何だこいつ!
若くて背高くて王子様みたいな顔してる時点で腹立たしいのに、話が通じないのが余計に腹立つ!
俺は少しだけキレた。
いや、だいぶムカついていた。
我がジムの悲惨な現状において、こんな冷やかしをされれば当然だ。
……こいつ、泣かす。
「……なら、俺に勝ってみろよ」
グローブに包まれた手を、後ろにあるリングに向ける。
「俺に勝てたら、結婚でも何でもしてやる」
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