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 あまりの物言いに呆れたのだろう、朝陽よりも先に病室にいた隼士の勤務先の先輩である飯野光太が、爽やかな顔に冷たい笑みを浮かべながらベッドの足をガツンと蹴った。 「親友? 朝陽? 一体、光太さんは何のことを言っているんです?」  ベッドに上半身を起こした状態で座っている隼士が、心底不思議そうな顔で光太を見上げる。 「ああん? てめぇ、いい加減にしとけよ。ボケかます前にまずは朝陽に謝れ。コイツがここに飛びこんで来た時の、今にも死にそうな顔見ただろ? それぐらい心配かけてんだぞ」 「はぁ、そこにいる彼が来たのは知ってますが、てっきり病室を間違えたのかと……」  口角を引き攣らせながら苛つきを見せる光太に、隼士は真面目な顔で問う。  そこで朝陽は、やっと隼士に起こった異変に気づいた。  光太は人よりも短気で切れやすい。そんな人間と仕事でほぼ毎日顔を合わせている隼士が、光太にわざわざ青筋を立てさせるなんておかしい。 「光太さん……ちょっと待って下さい。何か変じゃないですか?」 「あ? 変って何がだよ」 「いつものコイツなら、こういう時に冗談は言わない……」  朝陽の言葉に反応して、光太が眉を寄せる。 「言われてみれば確かにそうだよな。……オイ隼士、俺が誰だか分かるか?」 「誰って光太先輩でしょう?」     
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