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「こんなもん俺の心の痛みに比べりゃ、どうってことねぇだろ?」  悪魔のような笑みを浮かべながら、問答無用で引っ張り続ける。すると、その様子がよほど鬼気迫ったものだったのか、朝陽の隣では光太が頬を引きつらせながら「これから朝陽を怒らせんのは、やめよ」と呟いた。 「……んで? 医者は何て?」 「今のところ記憶の欠落が見られるのが一部分だけということで、恐らく事故で頭を打ったことによる記憶障害だろうと」  ようやく解放された隼士は、赤くなった頬を押さえながら医者の見解を語った。 「それは治るもんなのか?」 「分からない。一時的なものかもしれないし、長期的なものになるかもしれないと……」 「何だよそれ、面倒くせーな。で、忘れたのは朝陽のことだけか?」   即時解決の見込みがない状態に、今度は光太が文句を散らす。 「現時点ではそれだけだが、もしかすると他にも忘れていることがあるかもしれないと言われました」  けれども今、それを突き詰めていくのは得策ではないから、今後は検査をしながら追って探っていくということで話がついたらしい。     
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