始まりと終わりと廻り合い

8/9

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
しばらく雑談を楽しんだ後、スマホにインストールが終わった。  「天気予報のアプリに、ニュース、これは日記アプリか」  「ゲームは一つも入ってないんだな。」  「まぁ後で入れるよ。」  それからすることもなくなり、例の図書館に自転車を滑らした。  例の図書館は東京都内にある、ただ東京都というだけで'ど'がつく程の田舎である。  大学になってから運動を忘れがちかと思いきや、思った以上に図書館に自転車で足を運んでいるのでその懸念は杞憂に終わった。  ボロボロになった図書館の看板、そして手入れのされていない曇った窓。暫く管理されていないことが伺える。  「そういえば管理費とかってどうなっているんだろ?」  電気は太陽電池とかで動いているが、水道やガスは完全に止まっている。  職員も新しい職を見つけてからここを放置している、じいさんの親族にここのことを伝えたと言っているが、親族はここのことを忘れてしまったのではないかと思っている。でなければこんな得体の知れない若造が施設の鍵を掌握しているにも関わらず何も行動がないのは腑に落ちないのだ。  ここに毎日足を運ぶ理由はそれである。親族か会社員の誰でもいいので自分に接触し鍵を処遇を明確にしてほしいというのもあった。自分の知らないところで勝手に話が進み、不正に掌握していると親族に当たられては堪ったものではない。  「あのじいさん、全くもって謎なんだよな。」  だが変わり者だからと言っても悪い人ではない。全てが謎に包まれた人物だった。   ドアを開けて電気をつけるが何故か機能しない。何度とパチパチとスイッチをいじるが反応がなかった。仕方なく壁に埋め込まれている非常用の懐中電灯を抜き取り奥へ進む。  「バッテリーのスイッチかな?」  なにかの拍子でソーラーパネル用のバッテリースイッチが落ちたか、それのブレーカーが落ちたかを想像した。迷わず地下室に行き制御室に入るが、そこには変な物が置いていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加