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001-新生活
「和也、このダンボールここでいい?」
「うん、そこでいいよ」
3月下旬。桜も少しずつ花を咲かせ、春の訪れを知らせている。
私、山下葉月は都内の大学に合格し、この春から大学生。それと同時に、高校から付き合っている和也と同棲生活を始めることになり、只今引っ越し作業の真っ最中。
「ーふぅ、荷物はこれで全部だな」
「うん、まあ今度はこれを開けて今日中に整理しないといけないんだけど」
「えぇ、それ…今日じゃなきゃダメか?」
「当たり前。入学したら片付ける暇ないし」
「そんなことねぇだろー。今日くらいゆっくりしようぜ?それで夜は2人同じベットで…っいて!お前、それリモコン…」
「そんなバカなこと考えられる元気があるなら、片付けなんて余裕よね?第一、片付けなきゃゆっくりできないでしょ。ほら、作業作業!」
和也はバカだけどいいやつ。例えば私にいいことがあると一緒に喜んでくれるし、泣いているときはそばにいてくれる。同棲の話も喜んで賛成してくれた。なんだかんだ言って、私の方がぞっこんだったりする。
「よっしゃあ、終わったー!ほら葉月、ソファー座ってみようぜ」
作業が終わってテンションが上がっている和也に手を引かれてテレビの前に置かれた2人がけのソファーに腰掛ける。
「…俺たち、今日からここで一緒に暮らすんだよな」
「だね、なんだか実感わかないけど」
「じゃあ早速テレビでも見ながら話すか」
「いや、もう夜遅いし私は寝るよ」
「え、同棲初日なのにもう寝るの?!」
「だってお肌に悪いし」
「お前、いつから美容なんか気にするようになったんだよ、絶対そういうキャラじゃねーだろ」
「うわ、ひど。だったら今日、一緒に寝ませんけど?」
「落ち着けって、それに本当は葉月のほうが俺と一緒に寝たいんだろ?」
「…私ベットで寝るから、和也はソファーで寝てね」
「わ、わかったごめんて…一緒にベットで寝させてください、葉月様ぁ」
「なんだそれ」
これから和也と、こんな風に楽しく生活するのか…このままいけば結婚とかして、普通の人生歩むのかな。どうなるかはわからないけど、私の望む和也との普通に充実した人生が待っているといいな。
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