箱の中の猫

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「また僕を箱の中に入れるのかい? ああ、そう……人間っていつもそうだよね。面白半分でシュレディンガーの猫シュレディンガーの猫言ってさ。まず言いたいことは、僕ってシュレディンガーの猫じゃないからね? シュレディンガーという科学者に憐れにも選ばれてしまい、後にまで概念として選定され続けているだけの、ただの野良猫であって、君達人間が議論をするたびに僕という概念は世界から引き出されて、やれ生きているやれ死んでいると、全く、物理空間の死だけで飽き足らず死後の塵となって情報体として成り果てた後にも安息が得られないとか……どんだけーひくわー人間の身勝手さひくわー……まぁ、こんな事実はきっと誰も知らないんだろうけど。  あー、またシュレディンガーの猫とか呟いてたり、想像したり、検索を入れたり……うわっ、シュレディンガー 猫 殺人って検索入れてる変人がいるじゃん。やめてくれよ。謎過ぎる箱とシュレディンガーのオジサンが登場しちゃうじゃん。シュレディンガーのオジサンも科学の発展のためだという大義名分で若さに身をゆだねて調子に乗っていたと反省しているんだからもうやめてあげろよ、古傷が疼くんだぜ、そうそう君達中二病と同じ症状さ、ほじくっちゃらめええええだよ、いやこれマジで。  箱……謎過ぎる箱……いやもう何も言わぬ。そもそも箱ってただの箱で何でもよかったはずなんだよ。シュレディンガーのオジサンが悪乗りしてMS(マァァッドサイエンティストッ)とか言って調子乗ってるときに追加されたお遊戯おふざけをね、君達は拡大解釈して、というかそこにこそ何かを見出しちゃって……結果がこれさ。箱は箱で無機物で固有のモノではなかったのに、一番ヤバイ概念として生誕しちゃったじゃん。何だよ謎過ぎる箱って、お前等適当すぎるだろ。箱さんはすげえんだぞ! シュレディンガーのオジサン含めて君達がふざけて何でもいれやがるから、だというのに箱さんは奇跡を起こしてこの僕を生かしたり、別次元に飛ばしたり、もう何かすげえんだぞ! 奇跡の箱だかんな! 謎過ぎる箱って失礼過ぎるだろ人間!  入るけどね。文句言っても結局は入るけどもね! あーあーやってられないなぁもう。
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