すっぴんハート。

怖じ気づいてる自分を奮い立たせたくて
リュックの紐を強く握る。
今すぐ飛び出して、
あいつらに言い返してやるんだ。
そう思うのに。
足が震えて動かない。

付け睫毛の糊を塗ったところが、少しずつ熱くなる。

こんな奴らのために、今日も５時に起きて自分でかけたメイクの魔法、台無しにしたくない。

えまにもいつも言ってるじゃない。
意地悪されたら、泣いてるだけじゃだめだって。ちゃんと言い返しなさいって。

……だめだ、あたし。

もう、泣き虫なえまのこと
怒れない。