すっぴんハート

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******* 哲哉の言う通り、あたしには友達がいない。 死ぬほど勉強して補欠で受かったこの高校では、明らかに浮いている。 でも平気。 休み時間は雑誌をチェックしたり、インスタに今日のメイクの写真をアップしたり、コメントを返したり。 これでも結構忙しい。 教室に友達がいなくても、フォロワー数が増えていくのを見ると ひとりぼっちでも寂しくない。 今インスタで人気ナンバーワンの読者モデル、ベッキーがあたしのアイドル。 最近はガールズコレクションにも出てるから、読モってゆーか普通に売れっ子モデル。 いつかベッキーみたいになりたいって なれるんじゃないかって ずっと夢見てる。 毎年応募している読モのオーディションには書類審査で落ちてるけど。 その日も結局、学校では誰とも話すことなく授業が終わった。 ……と思ったら、廊下で数学の先生に呼び止められた。 先週のテストで、学年でひとりだけ赤点だったから。 マンツーマンの補習が終わって、教室を出ると 窓の向こうの空はオレンジ色に染まっていた。 保育園のえまを迎えに行く前に、スーパーで夕飯の材料を買って……なんて考えながら玄関に急ぐと クラスの男子二人が下足箱の前に立っているのが見えた。 いつもあたしのこと、チラチラ見ながら 笑ってる奴ら。 思わず立ち止まって、隣のクラスの下足箱の影に隠れてしまう。
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