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哲哉の言う通り、あたしには友達がいない。
死ぬほど勉強して補欠で受かったこの高校では、明らかに浮いている。
でも平気。
休み時間は雑誌をチェックしたり、インスタに今日のメイクの写真をアップしたり、コメントを返したり。
これでも結構忙しい。
教室に友達がいなくても、フォロワー数が増えていくのを見ると
ひとりぼっちでも寂しくない。
今インスタで人気ナンバーワンの読者モデル、ベッキーがあたしのアイドル。
最近はガールズコレクションにも出てるから、読モってゆーか普通に売れっ子モデル。
いつかベッキーみたいになりたいって
なれるんじゃないかって
ずっと夢見てる。
毎年応募している読モのオーディションには書類審査で落ちてるけど。
その日も結局、学校では誰とも話すことなく授業が終わった。
……と思ったら、廊下で数学の先生に呼び止められた。
先週のテストで、学年でひとりだけ赤点だったから。
マンツーマンの補習が終わって、教室を出ると
窓の向こうの空はオレンジ色に染まっていた。
保育園のえまを迎えに行く前に、スーパーで夕飯の材料を買って……なんて考えながら玄関に急ぐと
クラスの男子二人が下足箱の前に立っているのが見えた。
いつもあたしのこと、チラチラ見ながら
笑ってる奴ら。
思わず立ち止まって、隣のクラスの下足箱の影に隠れてしまう。
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