第1章

105/107
338人が本棚に入れています
本棚に追加
/107ページ
 「顔は赤いけど、熱はないみたいね」  「あ、赤くなどありませんっ」  「!?」  つい、大声を出してしまった。  セシル様もジーク様も驚いた顔をされている。  「申し訳ありません、失礼します」  とんだ失態だ。 ❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️  また別の日もクリス様にあった。  どうしてこうなっているのだろう?  私は今、なぜかクリス様とお茶をしている。  「ここのケーキが美味しいって評判なんだ。  グエンの出しているお店なんだけどね」  「そうなんですか」  「うん、そう。でもね、1人で甘い物を食べに行くのって結構勇気が居るんだよね。  ルルが居て良かった。ありがとうね」  「いいえ、お役に立てたとなら幸いです」  私は目の前に置かれたケーキを食べた。  美味しい。  「あら、クリスじゃない」  「・・・・やぁ、ミリアーノ嬢」  「?」  誰でしょう。心なしかクリス様の顏が引きつっています。  あのグロリア様の時でさえ笑顔を保っておられたので意外です。  ってきり強靭な心臓の持ち主かしと思っていたので。  クリス様にミリアーノと呼ばれて女性は私を品定めするかのように上から下まで見てからクスリと笑ってきました。感じの悪い女です。  まぁ、グロリア様で慣れていますが。  あの方がセシル様やジークの目がない所では散々、私のことをバカにしていましたら。  『#使用人風情__・__#が、私を憐れんでいるんでしょ。  ろくにベッドからも起き上がれない病弱で役立たずな娘だと』  ふむ。「いや、あんた起き上がれるでしょうっ!」と突っ込まなかった私は凄いと思う。  使用人風情とは全く。よく言ったものです。  間違ってはいませんが。  「ねぇ、あなた」  ああ、いけない。ちょっと過去の回想に耽っていました。  「はい、何でしょう」  「どこの家の人?」  「ミリアーノ嬢!僕の連れに失礼な真似をしないでくれる」  「ああ、ごめんなさい。私はローレン子爵家の娘よ」  「そうですか。私はラインネット伯爵家で侍女として働いています」  「あは。あははは。そうよねぇ、可笑しいとは思ったのよ」  何が可笑しいのか分かりませんが。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!