第1章

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大好きなお姉様の陰口なんて私言わないわ」 言葉と表情が真逆だ。 社交界では常に笑顔を絶やさず(あまりできてはいないが)表情を読み取れないようにするのが普通。 それができないグロリアは社交界では致命的だ。 「あら、そう。 てっきり、黙り込むものだから私は陰口を言っているのだと思ったのよ。 ごめんなさいね」 会話は終わりとばかりに私は立ち竦むグロリアを残して自分の部屋へ戻った。 「お嬢様、お帰りなさいませ。 お風呂の用意は出来ております」 「ありがとう。頂くわ」 侍女のルルにドレスを脱がせてもらい私はお風呂に入った。 浴室に入り、脚を伸ばすとかなりふくらはぎが張っていたようで気持ちが良い。 「お嬢様、長風呂はご遠慮ください」 浴室の外から抑揚のない声が聞こえる。 ルルの声だ。 あの子の声は抑揚がなく、表情もあまり動かない。 まるで人形のようだ邸の使用人に言われていた。 「分かったわ」 ルルの言う通りお風呂から上がってナイトドレスを着て、さぁ寝よう!と、なれば良いのだけれど残念なことにそうはならない。 私は続き部屋に入り、其処にある執務机に置かれた書類に目を通す。 「此れはジークが?」 「はい。一時間程前に持って来ました」 「そう」 ジークというのは執事のこと。 因みに私専用。 私や他の者にはジークと呼ばれているが本名はジークフリードだ。 長いのでジークと呼ばせてもらっている。 年は26歳。黒髪黒目で端整な顔立ちをしている為、使用人の中てま絶大な人気がある。 「相変わらず几帳面ね」 ジークが持って来ました書類はきちんと整理されているのでとても分かりやすい。 「お嬢様、今日は夜会もありましたのであまりご無理は」 「ありがとう、ルル。 これだけ見たら休むわ」 「分かりました。 何かあったらお呼びください」 ルルは一旦下がり、私は書類に目を通し許可できるものはサインを、検討の余地があるものは机の上にある木箱に入れた。 第1章 婚約破棄 III.妹グロリア 「まぁ、素敵ね」 「リドル様にはいつもご贔屓にしてもらっているので」 「本当によろしいの?」 「ええ、是非」 「ありがとう」 「羨ましいわ、リドル様」 「本当によくお似合いで」 「うふふ。ありがとう」 今日は中庭でお茶会を開いていた。 リドル様は私のお土産をとても気に入っていらして、私は安心した。
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