第1章

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時間の感覚のない方の為に敢えて言わせてもらうとあの夜会から一ヶ月は経っている。 みんな、夜会の状況を見て私には友達が居ないと勘違いをしたかもしれないなで、ここらで誤解は解かせてもらいます。 実は私を嫌っている人間と同じぐらい好いてくれる方もいらっしゃるのですわ。 私が楽しく友達と話していると視界の隅にチラチラと映るとても不快な影があった。 妹のグロリアだ。 彼女が木の陰からこちらを見ているのだ。 「あら、あちらにいらっしゃるのわ」 お茶会に参加していた1人がグロリアの存在に気づいた。 それを皮切りにみんなが一斉にグロリアの方へ向いた。 「妹のグロリアですわ」 「確かお身体が弱い方でらしたわよね」 「・・・・」 いつの話だよ。 グロリアは確かに幼い頃は病弱だった。 でも今ではすっかり健康体だ。 ここ何年かは風邪だって引いてない。 「ねぇ、あなた。そんな所に居ないでこちらにいらっしゃいな」 友人のスーザンがグロリアに声をかけた。 無視すればいいのに。 グロリアはお茶会には呼んではいない。 だからお茶会をしている席に本来近づかないのがマナー。 少々甘やかしすぎて礼儀がなってはいないのよね。 声をかけられたグロリアはビクリとしてから何かを思案したあとオドオドしながらこちらへ来た。 私と目があった瞬間、体を強張らせ私から目をそらす。 はぁ? 何、その態度。 私何かした? 本当、ムカつく。 「妹のグロリア様ね。 初めましてになるわね」 「・・・・はい」 「グロリア、こちらは私の友達のスーザンよ。ご挨拶を」 「・・・・・はい」 と、言いながらもグロリアはなかなか口を開かない。 困ったスーザンが私の方を見る。 私はグロリアを下がらせよう思い口を開きかけた時蚊の鳴くような声で「妹のグロリアです」と言った。 これは貴族の子女がするような挨拶では到底ない。 下町の女の子の挨拶だ。 私は思わず口をあんぐりとしてしまった。 他の方達も驚いたり眉間にしわを寄せたりしている。 「・・・・そう。 確かグロリア様とセシルは双子なのよね」 「ええ、そうよ」 グロリアは俯き、もじもじと手を膝の上で動かしている。 スーザンの質問には私が答えた。 だが質問を投げかけられたの私ではなくグロリアなのだ。 でも終始下を向いているグロリアはそれに気づかない。
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