第1章

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 欲しいのはそんな言葉じゃないのだ。  労りの心なんて要らない。望んでいないから。  「あの子、見ているとイライラするのよ」  吐き捨てられた母の言葉に私の枯れた心はひび割れていく。  「あの子のせいで私は近所から『どこか余所の子じゃないか』って不貞を疑われたりしているのよ」  父からは肯定とも否定ともとれる曖昧な言葉が飛ぶ。  「なのに、あの子は何も知らずに笑って。それが余計に腹が立つ。  何がアルビノよ。あんな真っ白で、気持ちが悪い。  だいたい、あの子はもう少し私の苦労を知った方が良いのよ」  父から返ってくる言葉はなかった。  私は何も言わずに自分の部屋に戻った。  食事をしに階下に行ったのだが、もう食欲はなかった。 ◇◇◇  別の日、書道をしている由利が賞状を持って帰って来た。  そう言えば、何かあるみたいな話をしていて母と一緒に由利が出かけていたなと私はその光景を見て茫然と考えていた。  何のコンクールかは知らないけど由利は優勝したようだ。  「本当に由利は凄いわね。今日は由利の為にご馳走にしなくっちゃ」  「本当!やった」  「頑張ったご褒美よ。何が食べたい?」  「お寿司」  「了解。この賞状は額に飾って居間に飾ろうね」  「うん!」  そんな会話をしていた由利は私に気がついて嬉しそうに駆け寄って来た。  「見て見て。今日ね書道のコンクールがあったの。  そこで私、優勝したんだよ」  「そう」  「凄いね」  「うん。おめでとう」  私の淡白な反応に何の疑問も抱かずに家族の輪の中に戻って行った。  私は自分の部屋に戻り、引き出しに仕舞っていた賞状をビリビリに破いて、ゴミ箱に捨てた。  トロフィーを持って家を出た。  向かった先はゴミ捨て場  向かう途中で雨が降って来たが気にしなかった。  私は持っていたトロフィーをゴミ捨て場で叩き割った。  粉々になったトロフィーを見て、私は涙を流した。  涙が零れないように顔を上に向けた。  雨を顔の真正面から受け、涙と混じり、誰も私が泣いていることなんて分からないだろう。  雨音が私の慟哭を消してくれる。  届かないのなら聞かせる必要なんてない。  『可哀想だと思わないのか?』  違う。  そんな言葉が欲しいんじゃない。  同情して欲しいわけじゃない。  認められたい。  褒められたい。  ただ、愛して欲しいだけなんだ。 第?章 8  私はアルビノ
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