第1章

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大まかな説明  初めまして。  私の名前は#神山柚利愛__こうやまゆりあ__#です。  突然ですがみなさんはアルビノってご存知ですか?  <アルビノ>  動物学においてメラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患がある個体。  #先天性白皮症_せんてんせいはくひしょう__#・先天性色素欠乏症・白子症などの呼称もあります。  サブサハラではアルビノの体を迷信的な呪術の道具に使うそうです。  二〇一四年一一月一八日、国連総会は六月一三日を「国際アルビニズム啓発デー」と定めたそうです。  色はメラニンの色素量に関係し、変わっていきます。  私は白金の髪に青海のかかった目を持っています。  そんな私には双子の妹が居ます。  私達は二卵性なので妹は私と違って黒髪・黒目の一般的な日本人の姿をしています。  妹の名前は#由利__ゆり__#と言います。  私の父、#弘毅__こうき__#はセールスマン。母、#小百合__さゆり__#はパートで働いています。  ごく一般的な、普通の家庭です。  私と言う存在以外は。  私達家族が住んでいる家は父の父、つまり私達の祖父が建てた物で築四五年になる。  私の父と同い年だ。  父が生まれたと同時に完成したらしい。  この記述からも分かる通り、私の祖父は大工だった。  神山建設会社の社長をしていた。  社長と言っても小さな建設会社なので月収は普通の会社員の相場と変わらない。  その祖父は会社を父の兄に譲り、私達が生まれる前に心臓病で亡くなっている。  祖母は認知症を発症し、今は施設に居る。 第?章 第?章 1  これは私がまだあの人に会っていない。  四歳の頃の話  「由利、それ私のサンダル。同じのあるんだから履かないで」  「いいじゃん、別に」  そう言って由利は私のサンダルを勝手に履く。  人のモノを勝手に取るのは珍しいことではない。  そして、一度盗られた物はもう二度と私の手の元には帰って来ないのだ。  「何を騒いでいるの」  玄関で騒ぐほどでもないが、軽く由利を窘めた私の声に居間から母が煩わしそうに出て来た。  「お母さん、柚利愛が、私がちょっとサンダルを履いただけなのに怒るの」  「柚利愛、サンダルぐらいいいじゃない。貸してあげないさ」  「でも」  「ああ、もう。何で、そんなにケチなの?  少しぐらい良いでしょう。我儘言わないで」  「・・・・はい」
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