第1章

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 はぁ。と、母はため息をついて行ってしまった。  結局、由利はサンダルのことを認めず、謝罪もなかった。  母も咎めることはなかった。  サンダルはもうない。  母に「サンダルがないから買ってくれ」という勇気はなかった。  なので出かける際は靴を履くことにした。  ついて行った買い物で由利が母にサンダルを強請り、買ってもらっていた。  「私、サンダルが一つもないんだけど」とさりげなく言ってみたが冷たい声で「ふぅん」と言われるだけだった。  私はあまり外には出してもらえない。  時々、遠出する時には連れて行ってもらえるけど、近場のスーパーとかは絶対に連れて行かれないし、基本的に家から出るなと言われている。  保育園に通っている由利と違って、私は保育園にすら行かせてもらっていない。  だからいつも保育園から帰って来た由利が無邪気に保育園であったことを話すのを聞いて良いなと思っている。  でも、私は絶対に保育園に通わせては貰えないだろう。  だって私はアルビノだから。  前に「柚利愛は保育園に行かないの?」と由利に聞かれたことがある。  それを聞いた母は「柚利愛は良いの」と言っていた。  「どうして?」と更に追及する由利に「あの子は普通のことは違うから恥ずかしくて外になんか出せない」と言っていた。 第?章 2  誕生日プレゼント  予算は五〇〇〇円  私は五〇〇〇円以内で収まるものを探した。  本当は欲しい物があったんだけどちょっとオーバーするから諦めた。  「私、これがいい」  そう言って嬉しそうに由利が持って来たのは今流行っているアニメの変身グッズだった。  それは一〇〇〇〇円以上もした。  私は驚いた。  それはさすがに無理だろうとも思った。  でも、母は「良いわよ。今日は#由利の__・__#お誕生日だもんね」と言った。  「ありがとう。ねぇ、早くこれで遊びたいからもう帰ろ」  「そうね。柚利愛、早くしなさい」  由利は誕生日プレゼントが決まった。  だからもうここに居る理由はなくなったのだ。  でも、今日は私の誕生日でもある。  だって、私と由利は双子だから。  誕生日は同じなのだ。  「・・・・もう決まった」  「そう。なら帰るわよ」  私は一番欲しい物を諦めて別の物を買ってもらった。  予算オーバーする物を強請っても買ってもらえないだろうし、何よりも雷が落ちるのが怖かった。
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