第1章

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 私は対して見られることなく放り出された通知表を鞄の中に仕舞い、自分の部屋に戻った。  どんなに頑張っても評価されない。  でも、いつかは。  そんな馬鹿なことを思って私は机について、教科書を開く。  ああ、なんて愚かなんだろう。 第?章 4  中学生になった。  変わらない。  何も変わっていない。  私の人生  バシャンッ  女子の集団に囲まれ、トイレに連れ込まれてバケツの水を被った。  やられていることは少額の時と同じ  同じこと年が上がってもされることに笑みすら零れてくる。  「お前、気持ち悪いんだよ」  そう言ってお腹を蹴られた。  これも同じ  「自分だけが特別だとでも思ってんの。ウケるぅ」  「つぅかさ、何?外人気取ってんの?」  それも良く言われた。  「つぅか、自分がイケてるって思ってるの?」  「あはっ。だとしたら趣味悪くね。白髪って、もうおばあちゃんじゃん」  「おばあちゃん、おばあちゃん」とコールが始まった。  何が面白いのか、みんな笑っている。  私だってなれるものならみんなと同じになりたい。  人間は群れで生きる動物だ。  なら、その群れから外された動物はどうやって生きればいい?  死ぬしかないじゃないか。  それまで一人で誰も頼らずに一匹狼のように凍えた体を必死に自分の腕で抱きしめて温めるしかない。  なんて惨めな生き方だろう。  暫くして女子の集団は私を虐めることに飽きたのか、頭の軽い話をしてトイレから出て行った。  私は冷たいタイルに上にびしょ濡れで倒れていた。  動くと思わず顔を顰めてしまう程の痛みが走った。  それでも、いつまでもこんな汚い場所に寝て痛くはないので何とか立ち上がり、私はトイレを出た。  よくあることなので、もう慣れたもので私は持って来ていたタオルで簡単に体を拭いて体操着に着替えた。  入学してまだ半年  けれど体操着も教科書も全てボロボロだ。  鞄がゴミ箱に捨てられていることなんて毎日のようにある。  教科書なんて虐められた最初に落書きを去れ、破かれて捨てられた。  廊下を歩くだけで視線が集まる。  「神山さん」  担任の先生に呼び止められて、トイレの次は指導室に連れて行かれた。  「これ」と言って手渡されたのは白髪染めだった。  「あなた、まだ中学生でしょう。今からそんな変な色に染めて。  あなたみたいな若い子にはまだ早いわ」
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