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遼一と別れた後、僕は思い立って図書館に足を運んだ。そこなら一年前の新聞が置いてあると思ったからだ。
平日の、閉館間際の館内は閑散としていて、どこか哀愁までをも感じさせた。
少しだけ息を切らして入っていった僕は、カウンターにいた司書のおばさんにチラリと見られたが、かまわずにお目当ての場所へと足早に歩いていった。
カウンターのほぼ正面にある、新聞のコーナーだ。
当日分の新聞がぶら下がっているその下にある引き出しを開けると、中には過去の新聞が束になって入っていた。年月日毎に、紐でくくられている。見易いようにと、日付が書いてあるインデックスが新聞と新聞の間から顔を出していたが、一番古いもので、半年前の月の新聞しか無かった。
僕は、落胆のため息をつきながら、静かに古新聞を元の場所に戻した。
ほとんど毎日のように発行されている新聞を、それも数種類の物を半年分も保管している方が凄い。
単純に計算して、一社の半年分の新聞が百八十部。それが六社分もあるから、千部と少しの量の新聞が、この棚にあるのだ。
そのおよそ倍の量など、この図書館の規模では置くのが難しいのだろうなと、僕は考えた。
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