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……と「ワールド・カップ総特集」の見出しが目立つ、スポーツ雑誌の中吊り広告を見ながら俺は追想にふけている。
これら一連の緩い憂悶。即ち、神保町で古本を渉猟した後、御茶ノ水からたいした距離ではないので歩けばいい所を、わざわざ一駅百三十円かけて秋葉原に向かっている途中の思慕のこと。
夕方五時くらいのJR総武線の中は適度に人が乗り込んでいる。神保町のおよその古書店は商売っ気がなく、六時前ぐらいに大半が閉まってしまうので、出かける時間帯が夕方頃かつ秋葉原にも行きたい場合は、先に神保町に行くことを優先する、俺。秋葉原の電気街の店は夜八時くらいまでは大抵開いているから、神保町で用を済ませた後でも十分間に合うのである。そして、このお散歩パターンに関して言えば、もう五年近くになっている。
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