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私たちに起こった出来事を、ここに書き留めておこうと思います。
このノートは本棚の一番奥にしまっておくつもりですから、もしかするとこのまま誰にも読まれないかもしれません。けれどこうやって目に見える形にしておかないと、あまりにも非現実的すぎて後々自分の記憶が信じられなくなりそうなのです。
私には物心ついた頃から霊感というものがありました。といっても、日常的に霊が見えるといった類のものではありません。夢枕に立つというのでしょうか、月に一度ほど、見知らぬ人が出てきては「私は故人なのだが、残された家族や恋人に伝えてほしいことがある」と訴えてくるのです。
幼い私はこれにほだされ、放課後になると町中を駆けずり回っていました。
最も、目的の人を見つけたところで素直に聞き入れられることはありませんでした。子供の遊びとあしらわれるのはまだいい方で、こっちの気も知らないでそんなでたらめをと怒鳴られることもしばしばありました。依頼主に文句の一つでも言ってやりたいところでしたが、同じ人が夢に現れることは二度とありませんでした。
それでも私は故人の伝書鳩をやめませんでした。我ながらなんという健気さでしょう。彼らの言葉を届けられるのは自分しかいない、そんな使命感だけが私を突き動かしていました。
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