消失の春

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 彼女に会えると言えば聞こえはいいですが、要するに私がするのは殺人です。夢で見たからなんていう理由が通用するはずもないのは、経験上嫌というほど分かっていました。  彼には言わないでおくべきか。部屋の隅で膝を抱えて、私は悩みました。そして、兎にも角にも彼を訪ねなければとピルケースを鞄に突っ込んで、答えの出ないまま家を出ました。
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