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「だって、水痛いんだもん」
……だもん。
「ずっと一番は嫌だって言ってたんだけど、ウチの母さん、話聞かないから」
「あぁー……」
うっかり深く納得してしまった。
お義母さんのザックリした対応は、お義父さんより男らしい。
「まぁ、だから修蔵君が嫌じゃなければ、先に入ってよ」
「じゃ、じゃあ遠慮なく」
「う、うん……」
「「…………」」
……お義父さんの気持ちが分かっても、やはり僕らの間に沈黙は訪れる。だけど、それは今までの気まずさはない。
寝室から、暁人の声が聞こえてきた。
ひょっとしたら、マスオさんもタラちゃんが産まれる前は肩身が狭かったかもしれない。
お義父さんの風呂の歌を思い出しながら、僕は愉快な団欒を想像して、妻と息子の元へと向かった。
ー了ー
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