お風呂ちゃぷちゃぷ

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お風呂ちゃぷちゃぷ

 マスオさんはかなりの策略家だと思う。  義理の兄妹ともうまく付き合い、義母も男を立ててくれる。義父ですら気を遣って会社帰りに飲みに誘う。  ……あのスキルが、僕に少しでもあればいいのに。  『岡田花店』の看板を掲げるシャッターを眺めて、僕、大塚修蔵(しゅうぞう)は深く溜息を落とした。  偶然なのか、会社の気遣いなのか。  妻の珠子(たまこ)が出産の為に里帰りをした数日後に、会社から珠子の地元の支社へ転勤辞令がおりた。  珠子に話すと、僕の気持ちの確認すらせずに、岡田家へ同居の流れになっていた。  珠子の家は花屋さんで、ご両親は入荷や配達はあれどどちらかは家に居るから、珠子の里帰りは安心していた。だけど、里帰り同居するだなんて夢にも思わなかった。    出産の為に入院した時も気まずかったけど、珠子が母親になって退院して来ても、同居の気まずさは無くならなかった。
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