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風呂から出てリビングに行くと、たまちゃんとお義母さんが僕の夕飯を用意してくれていた。
さっきと変わらない体勢で新聞を読むお義父さんに「お風呂、お先にいただきました」と声を掛けると、また「……ぉ……オゥ……」と短く答えて、お義父さんは風呂場へ向かった。
僕が夕飯を食べる間、たまちゃんは暁人をお義母さんにお願いして、僕のそばに居てくれる。
「だんだん暁人、寝る時間が長くなってきたよ。たくさん飲めるようになったみたい」
「そうなんだ。暁人、大きくなってるもんな。毎日、ありがとうね。僕、まだ父親らしいことしてないな……」
「そんな事ないよ。夜、暁人が泣くといつも一緒に起きてくれるじゃない。ありがとうね」
母親に比べれば、父親はちっとも役に立てない。それなのにありがとうと言ってくれるたまちゃんに、夫として、父親としての不甲斐なさを実感してしまう。
「……お義父さん達、僕の事をどう思ってるだろう」
「どうって?」
「突然転がり込んで、その、邪魔者じゃないかな、って」
頬杖をついて僕の話を聞いていたたまちゃんは、驚いた顔をした後にぷぷっと吹き出した。
「そんな事思ってたの? お父さん、あまり喋らないものねー。大丈夫だよ。しゅうちゃんが来てくれて、喜んでるよ」
……あれで?
腑に落ちない僕とは対照的に、満面の笑みのたまちゃんは、もう一度「大丈夫」と言った。
「しゅうちゃん、確か明日は半日勤務の日だよね? うまくいけば、面白いものが見られるかもよ」
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