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脱衣所の前に来たら、たまちゃんは「ここで待ってね」と小声で僕に言った。
「お父さん、開けるよー」
お義父さん?
未だ困惑していると、風呂場から今まで聞いたことのないお義父さんの明るい声が響いた。
「はいよー! ちょうどいい湯加減だぞ~。暁人~今日もちゃぷちゃぷしような~」
たまちゃんが脱衣所で暁人を裸ん坊にすると、「おぎゃあ」といかにも赤ちゃんらしい泣き声があがる。
「おうおう、大丈夫だよ~。
はーい、ちゃぷちゃーぷ。気持ちいいねぇ。はーいみーぎあし、ひだりあーし、おなかちゃーぷちゃぷ」
おそらくお義父さん作詞作曲の、独特のお風呂の歌が水音とともに楽しげに響く。
暁人も、泣くのを止めてその声を聴いているみたいだ。
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