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「手なんか繋ぎません!……あ」
「はい、終了ー。俺の勝ちな。罰ゲーム!」
「や、今のはしりとりじゃなくて……」
「往生際が悪い。ほら、諦めて」
思わず私の溜め息が漏れる。
「……何すれば良いのよ」
「じゃ、手繋いでよ。みんな来るまで」
「は?」
「ほら、相手の言う事何でも聞く。あんたも乗ったんだから。な?」
彼がニヤニヤしながら手を差し出して来る。
仕方無しに、それに少しだけ指を重ねる。
そよ風が桜の花達を揺らしていく。
目を移すと、それがサワサワと噂話を楽しんでいるよう。
……。
みんなが来るまで、あと三時間。
私は耐えることができるだろうか。
この心臓のうるささを。
了
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