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目の端にはピンク色の桜が楽しそうに咲いている。
私たちが出会ってもう六年が経ったのかと思いながらそれを眺める。
「な?そろそろ機嫌直せって。みんな来る前にちゃんと仲直りしとかないと」
「知らない。別にみんなの前ではちゃん度出来るからいい」
「っとに頑固だな」
「嫌なら私に構わなければ?」
「ほら、また髪の毛についてるぞ」
髪に触れた指の感触は無視した。
「ほら、花びら。お前桜に好かれるんだな。あの時も取ってやったの覚えてるか?」
「……知らない」
出来る事ならあの頃に戻って過去の私にこんな奴好きになるなと忠告してやりたいくらい。
「麻莉、麻莉ちゃーん、おーい。いつまでもそんなイジケてんなら公衆の面前で無理矢理押し倒してキスすんぞ。滅茶苦茶濃いめのヤツ」
「ばっバッカじゃないの!?」
一瞬彼を睨んでまた元に戻る。
「なぁ……だから、ごめん。もう意地悪しないから……。な?逃げてもどうせ俺に捕まるんだし。ここは素直に認めちゃおう?な?」
「何を認めんのよ」
「俺の事好きって」
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