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「花見」
「……え?」
突然彼が投げた言葉を聞き逃す。
イラついたように彼がまた言う。
「だから、しりとりっ。花見。ほら次あんた」
「あ、そういう事?み?み、蜜蜂」
「竹輪」
「わ、えっと……わ、輪投げ」
「下駄」
「た?たこ」
「子ども」
「も、桃!」
「森」
「り?り、り、り……あ、リスっ」
「寿司」
「し?しって何あったっけ、し……ぁっ鹿」
「か……」と彼が口ごもって言葉を止めた。
か、と言えばやっぱり蟹?と思いながら彼の言葉を待つ。
「……彼氏居んの?」
「の、の……え?彼氏?い……居ないけど」
何故そんな事を聞くのかと全身を賑やかに動揺が走り回る。
「何真面目に答えてんの。のだって、の」
その動揺を打ち消すように、彼の言葉はその笑みと同じようにとても冷たかった。
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