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だから、ピアノのコンサートは好きでなかった。というより、良い印象がない。
だが、大好きな親友の頼みだ。
行かないわけにはいかなかった。
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―――翌週の土曜日。
「こんにちはぁ、桜井さん」
港区、サンバリーホールの正面玄関口で、アリサの両親、父親の花池氏は歩いてきた町子に言った。町子の脇には、遥が一緒に歩いてくる。
町子は、薄紫色のカーディガンを羽織り、もうそんなに小さくも無い遥の左手を引いて、花池親子の前に現れた。
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