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「こんにちはぁ、花池さん。今日はどうぞよろしくお願いします」
町子は深々と頭を下げた。
「いえいえ…こちらこそ」
花池氏も同じように頭を下げた。彼の隣に立つアリサは、父親の手を離すと、すぐに遥の傍に駆け寄り、手を握った。
「行こう?遥!先に会場受付の前まで行ってきたんだ!」
チケット持ってる?と訊くアリサに、遥は《うん》と頷き、お洒落をしてきた肩から下げるショルダバッグの中より、長めのチケットを取り出して見せた。
「良かった。行こう?パパ、先に遥と中入ってるね!」
駆けだして行った。
パタパタと足音を響かせ、アリサは遥の手を引いて玄関口へと入っていた。
そんな二人を、穏やかな顔をして、町子たちは見つめる。
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