1…ピアノ

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周りは、同じように、車を駐車場に停めて入場しようとするような人が目立った。 時刻は夕方4時過ぎ。 さざれ雨のようにぽろぽろと正面玄関に客たちが向かっていた。 その流れに乗りながら、花池氏は、子供たちが会場入りして行った後姿を見ながら、同じように町子と肩を並べて正面玄関に入った。 「遥、アリサちゃんと仲良くなってから随分と元気になりました…」 町子は歩きながら言った。 花池氏は、町子の隣を歩きながら、少しだけ破顔した。穏やかな表情だった。 「それは良かった…ウチも…。アリサもですよ。お宅の遥ちゃんと会う度に晩御飯の時は笑顔で嬉しそうに話してます…」 町子は、穏やかにそれには悲しげに笑った。
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