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それから数十分後、アリサはふと言った。
両手に二つ、キャラクターの縫いぐるみと、何だかわからない変な縫いぐるみを抱えていた。
対して遥は、小さなウサギの縫いぐるみをひとつ、手に持っている。
周りを見渡すと、うんうん、と遥は頷いた。
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「アリサちゃんはえぇ子やなぁ、はるちゃん」
優しい声が、遥にかけられる。
自宅―――。
あれから都内のマンションの一室に帰宅した遥は、晩御飯を作っていた祖母と、一緒にキッチンに立っていた。
祖母手作りのハンバーグを、祖母自身が皿によそい、それを遥がテーブルに並べる。
そうして、二つ分互いに向くように並べると、口を動かし、唾の音を少々出しつつ、遥は手話をして見せた。
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