枝垂れ桜の木

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ある晴れた日、僕は車で一軒家へ訪問に行った。その家の庭には一本の枝垂れ桜がある。桃色の花で満開なその木を撮ってから玄関のチャイムを鳴らした。 生命保険会社に勤務している僕は、営業を担当している。一件一件回っては断られるのを繰り返している僕は、一か八かの勝負で家の人が出るのを待った。 その家の主婦が出てきた。僕は、パンフを取り出して説明をした。奥さんは、「主人と相談します」と答えた。僕は「今日はここで失礼します」とその家を後にした。どうせお断りだろうと長年の感で気付きながらも次へ向かった。 今日は良い天気だけど、まだ契約が取れてないので少しブルーな気分である。さっきの枝垂れ桜の画像を待ち受け画像にしてから車に乗ると発車させた。 元々桜の季節はめでたいはずである。僕の育った地域では、入学式の日には桜の木に花が咲く。桜の木の下で両親と一緒に写真撮ったし、クラス写真でもやはり桜の木の下に集まって撮った。 小学生の時には、満開の桜の木を写生大会で描いて提出したことがある。この季節になると母が桜餅を買って、3時のおやつに出して貰った。     
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