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僕はまるで、蛇に睨まれた蛙のようだった。
どうしてあそこにいる警察は、僕の所に来てくれないんだ! 殺されるかも…?
彼女はしばらく僕を見つめていたが、僕の耳元でこう囁いた。
「君がなにも言わなければ、わたしも何もしないよ」
「…」
「本当に怖がってるな~」
それだけ言うと、彼女は立ち上がりまだ座り込んでいる僕をちらりと見た。
そしてまた少しだけ笑うと、するりと家の中へ入って行った…。
僕はしばらくそこから動けなかった。
警察はまだ、すぐそこでうろうろしている。
言った方がいいのか?
でも彼女も辛かったのかな?
家を見上げる、と。
「こら! 邪魔だよ、どいて!」
さっきまで向こうの道路で、何かを探している風な警察の一人だった。僕は慌てて立ち上がる。
言ってしまおうか?この人なら僕の話を聞いてくれるかも?
しかしふと見上げた二階の窓から、あの彼女の顔がちらりと見えた気がして、僕は声が出なかった。
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