毎日がトイレ戦場中

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 旧校舎の女子トイレで、トイレの花子さんとトイレの女神さまは今日も今日とて醜い争いをしていた。 「この便所くさい女神め! 狭いのよ。さっさと出ていけ!」 「冗談じゃないわ。この個室はわたしの聖地なのよ」 「アンタが聖地ならこっちは心霊スポットなんだから」 「そんなのとなりでやってよね。神聖な場所が汚れるじゃない」 「うっさいうっさい! さまよえる霊魂一つも成仏できない駄女神のくせに」 「成仏は専門外!」 「マジメか! とにかく邪魔なのよ! どっか行け!」  トイレの花子さんはゴムのカップがついた棒(スッポンとかカッポンとか呼ばれるトイレのつまりを直す道具)を振りまわし、トイレの女神さまの顔面にゴムの部分を押しつけている。  一方のトイレの女神さまも負けじと消臭スプレーをまき散らし、あたりにキンモクセイの香りを充満させた。  二人の何百回目かのそんな戦いを、洋式トイレの便座に腰をおろしながら、わたしは横目で眺めていた。
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