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第5章 誕生日プレゼント
唯は、胸を抑えたまま、苦しそうな表情をしていた。病室では、主治医に症状を診てもらっていた。またいつもの発作、いや、今回は、ちょっと今までよりも深刻だった。
寒い冬と無理がたたったのだろう…。医者は、そう解釈した。
「唯ちゃん、もう終わりだよ。少し安定剤を打ったから、安心してきたかな?もう大丈夫。」
「ありがとう、先生。私、もう今度こそダメかと思ったわ。苦しくて、苦しくて…」
唯は、そう言って涙を流した。
主治医は、もうわかっていた。そろそろ唯ちゃんの心臓も日に日に悪くなっていると…。でも、それを考えたくもなかったし、出来ることなら絶対助けてあげたい!そう思っていた。
先生は、言った。
「唯ちゃんが屋上が好きで行ってるのは知ってるよ?でも、ちょっとの間はお休みしようね。絶対安静だ。」
「そんな!…私の楽しみなのに…。わかったわ。でも、その代わり、リハビリの山本先生を呼んできてくれないかな?話したいことがあるの。」
主治医の先生は、わかったと返事をして、山本先生を連れて来てくれた。
唯は、山本先生に
「悠くんに、私が発作が起きて病室から出られなくなってしまったこと、伝えてくれないかしら…?」
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