第6章 お互いのこと

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第6章 お互いのこと

唯は、しばらく悠の胸に顔を埋めていた。 悠は、スノボーをやっているからか、少し胸板が厚くて、唯がすっぽり入ってしまうぐらいだった。 「悠くん、暖かい…。心臓の音が聞こえる。」 僕はその言葉に少し照れてしまった。 「お父さんも昔こうやって不安なとき、ただ黙って抱きしめてくれたな…。不思議だけど、悠くんといると昔のパパを思い出す。」 「唯のお父さんはどんな人?あ、いや、答えたくなかったらいいんだけど…。」 悠は思わず聞いてしまった。 唯は、顔を上げて話し始めた。 「私のパパは、公務員のエリートで、スーツをバッチリ着ているようなそんな人だった。 お母さんは専業主婦で2人とも中庭仲が良くて、帰って来たら、私と妹の愛をお風呂に入れてくれるような、そんな人だったわ。優しかったけど、勉強はしなさいとか、物事はパパに最終決定があったような…そう言う窮屈さも子供心にあったかな。でも、ただ唯一、仕事のストレスからか、物凄くヘビースモーカーだった。そのせいもあってか、私は生まれつき心臓に異常があって、こうやって、病院で生活をしているの…。妹の愛は、全然元気いっぱいなんだけどね 笑」     
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